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事業多角化、その時...

[ 2019年07月10日 ]

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今回は前回の続きです。
最適化に反する事を抑制すべきでしょうか。
それともうまい逃げ道があるのでしょうか。

■多角化の話

昔からよくある話として、
 経営の多角化を図って始めた新規事業に失敗して借金を抱えて本業まで怪しくなった。
なんてものがあります。

バブル崩壊後によくあった「投資失敗からの会社消滅」もある意味多角化の失敗でしょう。

ネット小説のタイトル風に言えば「新しい収益の柱が欲しくて事業多角化したら倒産してしまった件」といった感じでしょうか。
(あ、「~った件」はもう古いですかね)

ではなぜそんなリスクを負ってまで多角化するのか。
基本的には本業の成長が見込めない。或いは衰退する未来が読めるからですね。
ですが、社内に誰もプロフェッショナルが居ない分野への新規参入がうまくいくはずがありません。
多くのビジネスは素人がいきなり成功を収められるほど甘くはありません。
「素人は失敗する」のです。

では、詳しい人材が居たり、業界に精通した人の助けなどで人材を採用できる場合はどうでしょう。
また、一見すると全く違う業種に見えて、根底に流れる技術に共通性がある(=実は社内にプロフェッショナルが居る)というケースもあるでしょう。

その場合は成功する「可能性」が生じます。
過去の成功体験に囚われたり、新規事業に疎い管理職が部下である専門家に見当違いの命令などを出して足を引っ張ったりしなければ、その可能性は高まります。

富士フィルムなんかは成功例に挙げてよいかと思います。

そこまで大きな変化で無くても、本業と似た感じの横展開の事例としては吉野家がありますね。
外的要因(アメリカ牛輸入禁止)から牛丼以外のメニューを充実させる必要に迫られ、それを成功させて輸入再開までの危機を脱しました。

袋麺とカップ麺を「別分野の商品」と考えれば、この間の朝ドラで行われていた内容も「多角化」の成功例なのかもしれません。


■リスクを下げる

多角化をする理由の一つに「リスクヘッジ」という考え方があります。
一つの事業だけが収益を上げているビジネススタイルは、国家でいえば発展途上国のモノカルチャー経済と同じです。
そのたった1本の柱が傾けば、会社自体が傾いてしまう。
それを避けるため、新たな柱を打ち立てる。

しかし、多角化は大きなリスクを伴います。
失敗事例も多く、大抵の経営陣はやりたがらないでしょう。

ですが、近年はそのリスクを下げる方法もあります。

たとえば、いきなり大きな投資をして大事業をぶち上げるのではなく、最低限の費用で「観測気球」をたくさん上げて、その中で評判がいいものに投資をする。
といった方法です。

20世紀ではこの「観測気球」と評判の確認でさえも多額の費用と時間を必要としていましたが、現代ではウェブを使えば以前よりはるかに少ない費用で実現できます。


■なんと逆効果?

では、自社サイトにそういった「観測気球」目的で実験的コンテンツを掲載して評判を確認しようとすると、どうなるでしょう。
評判を知りたいわけですから、アクセス数が見込める自社ドメインのサイトに掲載したいですよね。
正式な事業でもないのに独自ドメインを取ってサーバーを借りるとかしていたら、費用もかさみますし、アイデアが浮かんでも実現までの手順(稟議書に押すハンコの数)が増えてレスポンスも悪くなります。
成長が見込める有望事業なら、当然ライバルもいるはずです。スピードの遅さは失敗要因の一つになります。

ですが、ここで前回ご紹介した弊社社長ブログに書かれていた事を思い出しましょう。
読んでない方もいると思いますのでここに引用しましょう。

>あがってきてほしいキーワードと関係のない記事を書きまくっていると順位が下げられるということになります。

そうです。
観測気球のページを作ると、サイト全体でgoogle先生からの評価が下がってしまうかもしれないのです。
これでは「守旧派※」から「余計な事をするな」と怒られてしまいます。

※この間の朝ドラで言えば、「どこの家にも『どんぶり』があるんだからカップ麺なんて誰も買わん」と主張した人が居ましたね。


■対策は?

実験的コンテンツ集と呼べるほど複数のコンテンツがあるのであれば、それらをひとまとめにして別ドメインで独立させてはどうでしょうか。
利用しているレンタルサーバによっては、同じサーバ内に別のドメインを設けることができることもあり、うまくいけば、追加費用を抑えることもできるでしょう。

実験的コンテンツ集のサイト自体は雑多な内容なので、google先生の覚えはめでたくならないと思われます。
それでも、本業のサイトからリンクすれば、ある程度はアクセスもあるでしょうし、本業のサイトへの悪影響も少なくなります。
(ゼロではないかもしれませんが、そこはgoogle先生にしかわからない事です)

ですが、こういった「対策」が必要とされる事自体が「新規事業へのブレーキ」ではないでしょうか。
それにコンテンツがとりあえず1~2種類なら、経費と手間もばかになりません。

もちろん、メリットもあります。
本業サイトのデザインにこだわらず、コンテンツに合わせたデザインや技術を使っても、別サイトなのですからサイトの統一感を損ねません。
もっとも、同じサイトの中でもインパクトのために敢えて違うデザインにするという手法がありますから、「別ドメインのメリット」と呼ぶには少し弱い気もします。

なお、未検証なので積極的に勧める事はありませんが、サブドメインを使う方法も考えられます。
サブドメインにあるコンテンツは、本ドメインのインデックス数に含まれないと考えられています。
という事は、サブドメインにあるコンテンツの内容が本ドメインのコンテンツとジャンル的に相違していても、影響は少ないかもしれません。
サブドメインであれば、ドメインの取得も新たなサーバー契約も大抵必要ありません。

これまでサブドメインの利用をSEO的視点から行う事はありませんでした。
過去(3年前)の情報ではgoogle先生は「サブドメインとサブディレクトリのどちらを使っても、SEO的な影響は無い」とされていました。
ですが、検索エンジンの世界で3年前は「遠い過去」です。
現在でも同じかどうかは判りません。


■余談 この先どうなる?

アメリカでは選挙でこんな公約を掲げる人も現れています。

米大統領選出馬のウォーレン議員、GAFA解体を公約に
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/11/news059.html

この中でGAFAは
 「中小企業の成長を妨げ、イノベーションを阻害した」
という指摘をしています。
それが妥当な主張かどうかはともかく、こういう意見が大統領を目指す人からも出ている現実があります。
上に書いた「新規事業へのブレーキ」の話はまさしく、この主張と合致していますね。
もちろん、もっと重大で多様な話を含むのでしょうが。

インターネットでビジネスをする方々は、今後もGAFA関連の情報からは目が離せませんね。