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【続報】Googleがサードパーティークッキーの代替を用意しないという件

ウエブ検索

個人情報の保護についての意識の高まりは、ウェブの世界でも進んでいます。
ブラウザシェアの半数を抑えているchromeを提供しているグーグルも、この流れに沿った動きを見せています。
その一環として、先日グーグルはサードパーティークッキーの代替手段を用意しない事を発表しました。
これは一体どういう事でしょうか。

1. そもそもサードパーティークッキーとは何?

日々色々なサイトを見ていると、不思議な事を目にする事があります。

ある人がこんな体験をしました。

車の情報サイトを見ているのに、横にハードディスクの広告が出たんです。
占いのサイトを見ているのに、サイト下部にハードディスクの広告が出るんです。
掲示板サイトを見ていても、やっぱり投稿の合間にハードディスクの広告が出る……。
どうして同じ広告ばかりでるの~~?

よくある話だね。

パソコン情報のサイトにハードディスクの広告が出るのであれば判りますが、全然関係ないサイトにハードディスクの広告が出るのです。

そのサイトかい、僕のスマホでは違う広告が出ているよ。
ハードディスクじゃなくて、これは……新作ゲームだね。

えーなぜ違うんです?

※これはフィクションです。 説明のために作成した事例ですが、同様の経験をされた方も少なくないでしょう。

実は、直前にテレビ用にハードディスクをネットで探していたのです。

通販
……で、納得は出来ませんよね。

車の情報サイトでハードディスクを探していたわけではありません。
もちろん、占いのサイトや掲示板サイトでも探していません。

では何処で探していたのか、それは家電量販店のネットショップです。

つまり、「他所のサイトで検索や表示した内容が、広告内容に影響している」のです。

どうしてこんな事が出来るのか。

実は、これを実現するのに使われているのが「サードパーティークッキー」なのです。

広告配信のシステムは、このサードパーティークッキーを使って「誰がサイトを見ているのか」を「サイト運営者ではない存在」が特定し、その人に向けて様々なサイトで同じ広告を出しているのです。
(厳密には人ではなくブラウザを特定しているので、大抵の人は会社のパソコンと自分のスマホでは、同じサイトを見ても違う広告が出るでしょう)

この事がプライバシーを重視する近年の流れに合わないと考えられています。

複数のサイトで同じ広告が出るという事は、同じ広告配信をしている会社(広告会社)のシステムを採用しているサイトという事で、そういった広告会社はいくつもあったりします。
そういった複数の企業にサイト閲覧情報や検索内容が「本人が知らないうちに」蓄積される事が現在問題視されています。

2. サードパーティークッキーの代わりに使われる「プライバシーサンドボックス」が登場!

この問題への対応として、グーグルは以前からサードパーティークッキーを利用できなくする方針を打ち出しています。

これについては、以前も話題にしましたので、覚えていらっしゃる方もいるかもしれません。

GoogleがサードパーティーCookie廃止を計画!WEB広告はどうなる!?

上記で書いた「代替手段」としてグーグルが開発を進めているのが「プライバシーサンドボックス」と呼ばれるシステムです。
そして、このシステムには「ユーザー追跡技術」は含まれない事を先日発表しました。

つまり、プライバシーサンドボックスを使っても、広告会社は個々のユーザーの検索結果や閲覧情報を得る事は出来ないという事になります。

ストップ
それでも、プライバシーサンドボックスによって、これまでに近い精度で広告を出せるようにするべく、開発は進められていますので、目論見通りであれば広告が消滅するといった事にはならないでしょう。

まもなくグーグルのchromeがこのプライバシーサンドボックスを搭載して、移行に向けてのプロセスが始まるようです。

ただし、プライバシーサンドボックスを使うためには広告会社もそれに合わせたシステム開発が必要になるため、スムーズな移行は難しいかもしれません。

3. ところで、アフィリは大丈夫?

ウェブ検索や色々なサイトを見て回る側としては、広告の精度や広告会社の苦労なんてどうでもよい話ですね。
でも、ウェブ広告がこれまでのシステムが使えなくなって混乱すると、影響を受ける人や組織があります。

そう、自分のサイトに広告を出してアフィリエイトで稼いでいる人や組織、つまりサイト運営者です。

サイト運営者にとっては広告の効果を左右する「どんな広告が出るか」も問題ですが、それ以上に問題なのは「自分のサイトから成約につながった」事が正しく処理される事です。
ここがうまく機能しないと、「商品は売れた。報酬は無い」なんて事になり、広告を載せる意味がなくなってしまいます。

これまでは個人を特定していたため、
 特定サイトの広告を見た人=購入した・契約した人
が確認されることで報酬につながったのですが、人の特定が出来ないとなると、ここはどうなるのでしょう。

先日のグーグルの発表以来、いくつもの情報サイト・ニュースサイト・業界人ブログなどで「プライバシーサンドボックス」やそれが使うAI技術である「フェデレーションラーニング」が話題になったり、解説されたりしていますが、この点に触れている記事はあまり見つかりません。

これが
 「そっちの紐づけはこれまでと同じ方式で出来るから、心配ないので話題にしていない」
のであれば良いのですが、
 「まだそっちまで頭が回ってない」
のであれば、心配ですね。

そのうち情報も出てくるかもしれませんので、しばらく様子を見る事にしましょう。

4. 実は例外があったりします

ところで、今回のグーグルの発表ですが、ちょっとした例外があります。

「ファーストパーティー」と呼ばれるものは対象外なのです。

たとえば、会員制サイトで、その運営者が情報を収集・蓄積するのは規制されません。
あくまで、広告会社などのサイト運営者とは別の存在(サードパーティー)が情報を収集・蓄積出来ないようにするというお話です。

まあ、明示的に会員登録をしている相手であれば、プライバシーについてユーザーが関与しているので問題は少ないという事でしょう。
個人情報提供をしたくなければ、会員登録をしなければよいという事です。

この点については、「大手による情報寡占化」を危惧する声も出ているようです。

そうですね、誰もが知っている「YouTube」や多くの人が使っている「Gmail」のように超大手が提供しているサービスなら、皆ユーザー登録していますよね。

だけど、初めて聞く名も知らない会社のサービスとかに安易に登録するのは抵抗もあるよね。

ちなみに「YouTube」も「Gmail」もグーグルのサービスです。
もちろん、グーグルの検索も。

そして、実は大きな抜け道が一つあります。
それも、「ファーストパーティ」ではないモノが。

多くのウェブサービスで共通して使われているアレです。

そう、ブラウザのChromeです。

chromeはグーグルのアプリ/ソフトなので、これから得られる情報はグーグル的には「ファーストパーティ」扱いですが、実際にchromeが表示しているサイトはグーグルが運営しているサイトに限定されている訳ではありません。
ある意味主客逆転ですが、他社サービスを利用していても、そのサイト運営者だけでなく、グーグルにも情報が流れている可能性があるのです。

もちろん、どこかのホームページを見ている時に、グーグルに情報がリアルタイムで送信されているわけではないでしょう。
ですが、閲覧履歴や行動の癖などを「収集」する訳ですから、これがどう使われるかはグーグルのみぞ知るです。

なお、収集した情報はプライバシーサンドボックスが使う事が示されています。
そしてプライバシーサンドボックスは「サードパーティーには」情報そのものは提供しないそうです。

他に情報を使う者が居るかいないかは語られていません。

とりあえず、グーグルは広告で成り立っている会社です。
ライバルが持ちえず、自分だけは得られる情報をみすみす放置すると考えるのは、お人よし過ぎるかもしれません。

5. 他のベンダーは採用しないようです[new]

プライバシーサンドボックスを使った、この新しい広告のためのシステムを実現する技術は、FLoC(Federated Learning of Cohorts)と呼ばれています。

ところで、ウェブブラウザはChrome以外にもいくつもあったりします。
それらブラウザを提供している組織をブラウザベンダーと呼びますが、グーグル以外のベンダーでは、現在のところこのFLoCを採用する動きは見られないようです。

やはり、上に書いたように、抜け道があったり、そもそも「言ってる事とやってる事が一致する保証がない」という点も問題視されています。
プログラムというものは、目に見えるはっきりした機能であれば「公開されている仕様」通りに動作しているかを確認できます。
でも、FLoCのように見えずらく、動作に曖昧な所がある機能では、確認できません。

FLoCはざっくり言うと閲覧履歴を元に「ある嗜好を持つ人」というグループに分類し、広告主に「この嗜好の人向けの広告を出すと良いよ」と知らせる機能です。
最初の例で言えば「ハードディスクを欲しいと思っている人」というグループが作られる訳です。

ところで、そのグループに分類される人が少なければ、他の手段と併用する事で、個人が特定される事も有り得ます。
グーグルはこのグループ(コホートと呼ばれます)が「小さい」場合は広告会社に情報を渡さないと言っていますが、何をもって(あるいはどの程度の数で)小さいと判断するのかは不明です。

これは「情報が送られている」事を調べられたとしても、それが「正しく小さくないと判断された」のか「不具合で小さくないと誤判断された」のかは誰にもわからないのです。
ましてや、コホートの属性や「地域」などによってこの基準が違う事も有り得ます。
そして、性善説を信用する人は(世界的には)少数派です。

それにどのコホートに所属するかの分析・判断が間違うかもしれない。
それを利用するのも広告会社とは限らないしね。

というと、どんな事が有り得るんですか?

防犯のために泥棒のテクニックを解説しているサイトを見て回ったら、「泥棒を計画している犯罪者予備軍」なんて判断されるかもね。
広告が見当違いになるだけなら別にいいけどさ。
国によっては、突然警官が家に踏み込んでくるかもね。

そ、それは怖いですね。

このように、業界の人たちからあまり信用されていない技術のためでしょうか、「痛くもない腹を探られる」のを避けるためか、他のブラウザではChromeと同じエンジンを採用しているマイクロソフトのEdgeをはじめとして、Mozilla、Operaといった大手では今のところ採用の動きは見られません。

中小のベンダーでは、「採用しません」と明言する所や、FLoCを無効化するChrome拡張機能を作るところもあるようです。

6. まとめ

  • グーグルはサードパーティークッキーを廃止後代わりとなる「ユーザー追跡技術」は用意しない。
  • ウェブ広告は代わりに用意される「プライバシーサンドボックス」を使う。
  • ただし、広告会社が「プライバシーサンドボックス」に対応するのには時間がかかる。
  • アフィリエイトがどうなるかは、まだ判らない。
  • 実はグーグルなどブラウザ提供者だけが使える抜け道がある。
  • 現時点では、他のブラウザベンダーに採用・追随の動きは見られない。

これから数年はウェブ広告の世界には混乱があるかもしれません。
広告に限らずウェブの世界の進歩は速いので、いつも目が離せませんが、特に注目を続けていくべき話題だと思います。

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